幼い頃の思い出は大工姿の父の背中。父の周りには沢山の職人が集まり、特別な日にはみんなでBBQ。そこには活気と笑顔があふれていました。木の香り漂う作業場は、私の格好の遊び場。自然な流れで、私の夢は設計士に。沢山の人達を笑顔にすることを思い描きました。

現場を知るため、鳶職として社会人の一歩を踏み出します。流行りは建売分譲や建築家住宅。
土地が良ければ売れる、デザインが良ければ売れる、そこには私が求める笑顔が感じられず、たまらなく心地が悪く、辛かったのを覚えています。

「なんのために家づくりをするのか？」初めて根本的な問題に立ち返ります。
幼い頃に見た景色。家づくりの中心にはお客様の、職人の、父の笑顔がありました。
「家づくりを通じてより多くの人の笑顔を作りたい！」心の奥底にあった答えが確信に変わります。

だとしたら、「自分が本当に作りたい、作るべき建築は何か？」。悩む中、新たな世界に導いてくれたのはお客様の一人、茶道の先生でした。茶道の世界で、美的感覚・客間の様式・季節のおもてなしなど膨大な刺激を受け、生まれたのが「市中の山居」をコンセプトとした“WABIKA”というブランドです。悩んだ時そこには全て笑顔がありました。
「家づくりを通じて笑顔をつくる」