水の気配と美意識
茶道において、水はただの液体ではなく、清らかさや清々しさ、そして清潔さを象徴するものです。打ち水を施した路地、そっと水を含ませた花入れ、そして茶碗を満たす水の静けさ――いずれも、そこにあるものの命を際立たせ、場の空気を研ぎ澄ませる役割を担っています。
私も長年、表千家で稽古を重ねるうちに、この感覚がすっかり身に染みつきました。茶席では、客を迎える直前に、道具を清め、花を潤し、床の間にほんのりと湿り気を添えます。それは、物の表面を濡らすという以上に、心を整え、もてなしの姿勢を形にする所作なのです。
しかし、ふと自社のスタジオを見渡すと、観葉植物の葉が乾いたままであることに、どこか違和感を覚えます。路地に水を打つように、葉にひと雫の潤いを与えたならば、この空間もまた、もう少し凛とした趣をまとってくれるのではないか。そう思いながらも、日々の忙しさに追われ、それを実践できないもどかしさを感じるのです。
とはいえ、美意識とは、一朝一夕に宿るものではなく、ほんの小さな積み重ねの中で育まれていくもの。たとえすべてを思い通りに整えられなくとも、一輪の花にそっと水を含ませること、葉に霧吹きのしずくを落とすこと、そのひと手間が、場に静かな調和をもたらしてくれるのではないか。
これからの仕事のなかで、茶道の心をどう活かせるか。日常のなかに、水の気配をどのように宿していけるのか。そんなことを考えながら、今日もまた、棚の上の植物にそっと目をやるのです。
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